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2007年12月10日 (月)

#8 子うさぎ誕生

ララとチョコが初めて夫婦の契りを交わしてから数日、土木のおじさんは毎日注意深くララの行動をながめていました。

そんなある朝、ララは所かしこにカリカリ、カリカリ穴掘り行動をはじめたのでした。
「おー、これぞ、まさしく」
おじさんは以前からネットでうさぎの出産についてのサイトを研究しており、ララの穴掘り行動はまさに、赤ちゃん誕生への前ぶりでした。

さー、いよいよおよそ一ヶ月で赤ちゃんうさぎとご対面、おじさんはわくわくしすぎて仕事も手につきませんでした。

おじさんは早速ララと生まれてくる子供達に、巣箱をプレゼントしようと、またしても近くのホームセンターで材料を眺めてはあれこれ思案を開始しまっした。

巣箱といっても、いままでそんなもの見たことのないおじさんは、困った時のネットだのみをはじめ、その中であるブリーダーさんの日記から屋根つき豪華巣箱のイメージを完成させたのでした。

「これだ!これを作ってやろう。」

イメージが固まったおじさんは、早速巣箱作りに、とりかかりました。
そのころのおじさんは、ララチョコ豪華ハウスを完成した経験から、すっかり大工仕事に自信をつけており、日ごろから「大工のおじさん」などと名乗っては、会う人会う人に、
「なに?○○が欲しい?よし、それじゃこの大工のおじさんが作ってやろう。」
そんなことを、語っていました。

しかし残念ながら、もともと大工仕事が大の苦手で、何を作らせても失敗ばかり、そんなおじさんのことを知っている友人は誰一人おじさんに、何か作って欲しいなどといいませんでした。

そんなおじさんでしたが、それは見事な巣箱を一日掛けて完成させてしまったのです。

Cimg0882mini

おじさんは、その素晴らしいできばえに大満足、さっそく出来たての巣箱をララと生まれてくる子供達にプレゼントしました。

ところが、その巣箱がその後、お母さんとなったララママを困らせてしまう、大欠陥巣箱だったとはその時おじさんは、まったく気づいていませんでした。

欠陥については後日お話させていただきますが、おじさんの最高傑作巣箱を小屋のケージ脇にセットしたおじさんは、その中に巣材用に牧草をたんまり押し込み、ララの小屋の前にどっかと腰をおろしました。

「さあ、ララ、おじさんからのプレゼントだ、素晴らしい巣箱だろー^^」おじさんはそんなことを、つぶやきながらララの動きををじっと見つめました。

探検マニアのララはさっそく小屋の中にどっかと現れた巣箱のあちらこちらを探索、おじさんは期待と不安でわくわくしながら、静かに息をころしてララの動きを観察していました。

やがて巣箱の回りを探索し終えたララは、ピョンと巣箱の中へ、

「おーし、そうだララ、君はここで立派な赤ちゃんを産むんだぞー」
おじさんはこぶしを握りしめて、ガッツポーズ、しかしそんな喜びもつかの間、ララはなんだこんなの、という感じで箱からピョンと飛び出すと、さっさと小屋のすみの彼女のお気に入り場所でごろっと寝そべり、そのまま大爆睡、それからというものララは巣箱を単なる踏み台として使うのみで、まったく興味をしめしませんでした。

それから数日、おじさんは毎日毎日巣箱の変化を観察しましたが、まったく変化はなく、ララは時々巣箱の中の牧草をつまみ食いするだけでした。

「この子、もしかして妊娠してないの?」

おじさんは少しがっくりしました。ところがどっこい、人というものは期待している時はなかなかことは起きませんが、何とかは忘れたころにやってくる。
ある朝おじさんがララの小屋をのぞくと、巣箱の入り口付近に何とララが作ったと思われる牧草の目隠しが、さらに巣箱の外にたっぷりあった牧草は見事にからっぽ。

「うおーーーーー!」

おじさんは、朝っぱらから雄たけびを上げ、そしてもしやと思い、ララの牧草入れに沢山の牧草を補充しました。
するとララは待ってましたとばかりに、牧草をわんさか口に銜えては、ぴょんと巣箱の中へ、また飛び出して銜えては巣箱の中へ、あっという間におじさんが補充した牧草を巣箱に運び入れてしまいました。

そんなララの一生懸命な姿におじさんはうれしくなってしまい

「よし、ララもっと入れてやるぞー、牧草はこの日のためにたんまり買い込んでんだ、いーっぱい使っていいからなー、ほれ、ほれ、ほれ」
おいさんは牧草がなくなっては追加、なくなっては追加、そんなことを繰り返しながら、せっせと巣材を運びいれるララの御手伝いをしたのでした。

いつのまにか巣箱の中にはたっぷりと巣材の牧草が形よくつまれ、ララは早朝からがんばっていた疲れからか、またどっかとお気に入りの場所に寝転がって、爆睡してしまいました。

「ララお疲れさん、もう少しで子うさぎに会えるな。」

おじさんの頭の中は期待がどんどん膨らんで、もう爆発寸前でした。

そして、それから数日後の10月に29日、おじさんが朝のえさをあげに小屋に近づいたときでした。

「うおー!」

おじさんは思わず絶叫、そして急ぎおじさんの土木会社の人たちの元へかけより

「生まれたー、赤ちゃんが生まれたー!」

おじさんはまるでわが子が生まれたかのように、大はしゃぎで会社内を駆け回りました。

ただ、生まれたといっても、赤ちゃんの姿はまだ見えません、
巣箱の中に突如現れた白い大きなのララの羽毛布団、それこそが赤ちゃん誕生の証だと、おじさんは前々から覗いていたサイトによって知っていました。

うさぎは出産のあとに、小さな赤ちゃんを暖めるために、自分の身体の毛をむしりとって羽毛布団を作る、おじさんは現実にその光景を目の当たりにして、感動のあまり涙がでてしまいました。

Cimg0870mini

そしておじさんは小屋の別の場所に目をやりました。
そこには身体に血をつけて、自分の身体中の毛をむしりとり、ぼろぼろになったララの姿がありました。

「ララー、がんばったな、がんばったな」

おじさんは横になって休んでいるララをなでながらほめると、すぐに会社の下の田んぼに咲いているクレソンをたんまりとって来て、ララの小屋にどっかと入れてあげました。
いつもなら、すごい勢いで吹っ飛んでくるララも、さすがは出産直後とあってのそっと近づき、クレソンをバリバリ食べていましたが、しばらくするとまた横になって爆睡してしまいました。

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「こんな感動をもらえるなんて、」

おじさんは改めて偶然迷い込んでしまったペットショップでの出会いを心から感謝しました。そしてまだ姿は見えないララの羽毛に包まれた子うさぎの前で、みんな健康に祖だってくれよー、そう願いをかけました。

おじさんがそんな感動を味わっているさなか、二階の小屋ではお父さんになったチョコが

「俺、そんなの関係ねー!」

というオッパッピーな顔でバリバリ牧草を食べていました。

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つづく

第九話 朝の風景へ

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